第17回(2020年度)中国建築文化賞について

2020年度の中国建築文化賞には住宅部門1件,意匠部門4件,人物団体部門1件の計6件の応募があり,選考委員会で厳正に審査を行った結果,次の3作品について表彰することに決定しました。当該賞の創設主旨を十分満たす作品、活動となっています。なお、令和二年度の中国建築文化賞の表彰式、受賞者による講演会を以下のように予定しています。また、令和元年度中国支部総会はコロナ禍のため中止となりましたので、このときに予定されていた令和元年度中国建築文化賞の受賞者による2件の講演会も併せて予定しています。
1)住宅部門「カイヅカイブキのある家」(岡山県岡山市)
受賞者:神家昭雄(神家昭雄建築研究室)
2)意匠部門「大崎海星高等学校 管理棟」(広島県豊田郡大崎上島町)
受賞者:中薗哲也(仲子盛進綜合環境デザイン・ナフ・アーキテクトアンドデザイン設計共同体)

日時:2021年5月21日(金) 午後
場所:広島県情報プラザ(広島市中区) 地下多目的ホール
(同日開催の中国支部総会において。詳細は支部HPでご確認ください。)

① 意匠部門「湯田温泉観光回遊拠点施設『狐の足あと』」(山口県山口市)
受賞者:原 一樹(光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所(株))
湯田温泉は現在「足湯」を様々な場所に作っている。まちづくりの一環として、「湯田足湯文化」の拠点となるべく、小規模ながらもユニークであたたかな形態を持つ作品として好ましい。安直な街並みの模倣は行っていないし、独特な形状をしているにもかかわらず、不思議と地域に溶け込んでいるように感じる。公共施設であるが、設計者の攻める姿勢を感じるデザインである。地域との協業を計画として実現できている点も評価したい。(撮影:黒住直臣)

② 意匠部門「木テラス」(岡山県真庭市)
受賞者:太田昇(真庭市)
真庭市は中山間地域の自治体として、木材利用振興を積極的に推進している。CLTという新しい構造方式(木造面材架構方式)を使った建物で、軸組中心の木造に対する新しい可能性の一端を見せている。トイレという閉鎖的になりがちな空間に対し、駅前空間へ開いた縁台空間を設けることによりこの点を解消している。地域文化の発展への貢献として、地場産業に対する貢献が想定される。

③ 人物団体部門「島根不動産(株)と広島工業大学女子学生キャリアデザインセンターの連携によるPBL教育活動『こだわりルームプロジェクト』」
受賞者:受賞者:川上善嗣,光井周平,伊藤 雅(広島工業大学女子学生キャリアデザインセンター)

教育活動の中で実際の建物を制作しながら学ぶことは難しい。設計を行いたい者は社会に出てから設計事務所等で具体的な作業に携わり習得していくものである。このプロジェクトでは大学生時分からそれを体得できる機会を提供している。受け入れ先の立場から、学生のアイデアを現実に施工し市場に出すという、とてもリスキーなことに協力してくれる事業者の姿勢が素晴らしい。これも日ごろから地域との連携を積極的に図り、地域の信頼を得ている教育機関のなせる技であろう。このプロジェクトのみでなく、日ごろからの教育機関の地域での活動を含めて評価に値する。また、このプロジェクトに参加した学生の学習意欲は間違いなく向上すると考える。

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