第22回(2026年)中国建築文化賞について

2026年中国建築文化賞には,意匠部門7件,住宅部門1件の計8件の応募があり,選考委員会で厳正に審査を行った結果,次の2件を表彰することに決定しました。表彰作品・活動が表彰規程第1条(目的)における「中国地方の建築文化の発展に顕著な貢献が認められる活動」であり,「広く地域文化の発展と建築文化に対する意識の高揚を図る」ことに寄与され続けることを期待しています。なお,令和8年中国建築文化賞の表彰式,受賞者の講演会を下記のとおり予定しています。

日時:2026年5月22日(金)午後

場所:広島県情報プラザ(広島市中区) 地下多目的ホール

(同日開催の中国支部総会において。詳細は支部HPでご確認ください。)

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・意匠部門:あわくら会館(岡山県英田郡西粟倉村大字影石33-1)

・受賞者:榎原博文(西粟倉村)

本建物は、岡山県北東の山間に位置する西粟倉村の役場および図書館の建替えであるが、単なる建替えではなく、ローカルベンチャーの拠点としての利用など多様な活動を支援する施設として計画された。また、本建物では村産材を約97%用いた木質構造で、木造耐震壁や木造サスペンショントラスを採用するなど、面積の90%以上が山林という村の特色を生かすとともに木の価値の最大化を目指している。一方で、大規模な建物のない地域であることから、主要道路から見える部分は平屋(反対側は2階または吹き抜けがある)で、区画ごとに屋根の高さを変えるなど外観についても周囲との調和がはかられている。また、審査当日は天候があまり良くなかったが、図書館を利用する子供や自由に使えるスペースで作業する若者を多く見かけるなど、さまざまな形で有効活用されていた。本施設が村の活性化をもたらし、今後さらなる地域文化の発展と継承につながるものと期待できる。(写真提供:榎原博文/西粟倉村,撮影者:浅田美浩/ヴィブラフォト)

・意匠部門:「広島アンデルセン」(広島県広島市中区中通7-1)

・受賞者:高本公博(大成建設株式会社)

本建物は広島市の代表的な繁華街である本通りに面した商業施設の建替えである。建て替え前の建物は、戦前に銀行として建設され、被爆を経て現在の所有者に代わり、地域のランドマークとして市民に親しまれてきた建物であった。老朽化が進み対策が必要となったが、耐震化とともに被爆建物の保存かつ繁華街にある民間所有の商業施設という条件も考慮する必要があった。そのために、被害の少ない側の外壁の一部について、人造石部分をスライスし裏側に補強コンクリートを打設、PCa板化して設置することで保存がはかられた。保存された壁は新設した壁と同様に仕上げられており新旧の区別がつかないものの、商業施設としての美観と被爆建物の保存を両立させるための高い技術力が発揮されたことが感じられた。また、店舗の密集地区において建築面積を減少させて公開広場を設けるなど地域の賑わいをもたらす取り組みもされている。耐震性の低い歴史的建物の保存や継続使用に関してはさまざまな手法がある中で、商業施設としての活用と被爆建物を次世代に伝えることを同時に実現させるという困難な課題に取り組んだことは高く評価される。同様な課題の先例となるものであり、建築文化に対する意識の高揚につながるものとして期待できる。(写真提供:高本公博/大成建設株式会社)

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